可愛いなんて大嫌い
「じゃあ葵ちゃんの誕生日はいつ?」

「11月23日だ」

「血液型はB型っぽいね」

「何故わかるのだ!?」

「やっぱりー。俺と一緒だ」

「……マジでか? 最悪だ。……って! さっきから何なんだ!? ついつい答えてしまったが、もう答えないからな!!」

 そうこうしているうちに、気付けば音楽室の前まで来ていた。

 用紙を見てみると葵達以外のクラスメイトは、みんな名前を書いていて、どうやら本当に最後になってしまったらしい。

「はい、もう歩けるでしょ?」

 葵は矢神の背中から降りて、自分の名前を書いた。

 2人は来た道を戻ることにする。時刻は日付を回っていて次の日になっていた。

 幸い明日は土曜日なので、多少は遅くなっても大丈夫だ。

「葵ちゃんちは門限ないの?」

「普段はあるが、今日はパピーが出張だから家にいないのだ」

「……パピーってお父さんのこと?」

「なんだ、そんなことも知らないのか? バカだな」

 知ってるとか知らないとか、そこは問題ではない。

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