可愛いなんて大嫌い
(……そこはパパじゃなんだ)

「早く戻るぞ」

「はいはい」

 帰りは割とスムーズに進んだ。葵がさっきよりギャーギャー騒がなくなっていたからだ。

 しかし校門に戻ってみると、そこには誰1人としていなかった。



 葵達が戻って来る数分前のこと。

「神田さん達遅いわね。大丈夫かしら?」

 悠里はこの肝だめしの責任者として2人を心配していた。

「もう帰っていい? 葵のことだから、どうせあと20分はかかるぞ。そんなに待ってらんねえ」

 一方、親友であるみーちゃんに葵を心配するような言葉はなかった。

「でも遅すぎるわ。わたしちょっと見に行くわ」

「大丈夫だって。葵1人なら気絶してる事も考えれるけど、矢神も一緒だしそのうち帰って来るだろ。じゃっ、そーゆー事で解散っ」

 委員長でもないみーちゃんは、自分が帰りたいためにみんなを解散させてしまった。

 クラスメイト達は次々と学校を去って行った。



 という事が起こっていたのだ。

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