可愛いなんて大嫌い
 なんだか葵の言ってる事は滅茶苦茶だ。話が大分ずれている。

 梨加と茉子の二人は葵の暴走を止める事なく、隣で呆然と立ちつくしていた。

 その後三人は入部届を提出し、晴れて料理部の部員となった。



 梨加達に別れを告げ、葵はみーちゃんの待っている玄関へ急ぐ。

 長時間待たせていたら何をされるかわかったものじゃない。

 迷ってしまうのではないかというほど広い校内だが、葵は長い髪をなびかせながら颯爽と廊下を駆け巡る。

 玄関に着くとみーちゃんはすでに来ていた。

 下駄箱に寄りかかって女王様のように腕を組んでいる。

「おっそい! あたしを何分待たせんだ!」

 女王様はご機嫌ななめであった。

「すまんっ! かくかくしかじかでいろいろあったのだ!」

「お前言ってる事意味わかんねえよ!」

 葵は身振り手振りで説明するが、言いたい事な一つもみーちゃんには伝わっていない。

 ローファーを乱暴に床に落として履き替えた。

< 13 / 131 >

この作品をシェア

pagetop