可愛いなんて大嫌い
 葵はみーちゃんに言われるままそこを退散して、しぶしぶ教室に入って行った。

(ちぇっ。……でも待てよ。みーちゃんが昨日、あの男は葵の隣の席とか言ってなかったかっ!?)

 そうとわかれば行動は早い。

 葵はたくさんの席をかき分けて、教室の一番奥の窓側にある自分の席へ急ぐ。

 どんな顔をしているのか早く知りたい。見てみたい。

 葵の好奇心は更に高くなっていく。

 そして自分の席に着いた。すぐに視線を隣の席に移す。

(どいつだっ!? 例の可愛い顔をした男とやらはどこっ……!!)

 一瞬でわかってしまった。本物の女の子のように可愛かったから。

 色白で透き通るような肌。目はクリクリと大きく、青い瞳をしている。

 髪の毛も赤茶色がかっているショートヘアー。

 身長はおおよそ百六十センチとちょっとしかないだろうと思われる。

 男と言われなければわからないだろう。

 葵は酷い衝撃を受けてしまい、手を口にやってあわあわしている。

 言葉に出来ないようだ。

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