可愛いなんて大嫌い
(それもこれも全てこの男のせいだ……!!)

 自分の言った事を棚に上げ、随分と勝手な事を思っている。

 葵の一言がなければ今頃平和な朝が迎えられてたというのに……。

「おいっ! お前、覚えてろよ!! ……だから男って奴は嫌いなのだ。バ―――カッ!!」

 葵は矢神を睨みつけ、言いたい事だけ言うと教室を飛び出して行った。

 葵が去った後そこにいた女子達は、

「何なのあれは!!」

「きぃぃぃぃい!!」

 と髪を逆立てて怒り狂っていた。

(……俺何か悪い事したのかな?)

 女子達とは対照的に矢神は、自分が何か葵の気に障る事をしたのではないかと反省している。

 全ては葵の単純すぎる性格と男嫌いが原因であり、矢神自身には何の落ち度もないのだ。



 その頃葵は廊下に出て歯を食いしばりながら悔しがっていた。

「……くそっ!! あの男許さん! てゆーか大っ嫌いだ!! 男のくせにあんなに可愛らしいとはっ」

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