可愛いなんて大嫌い
第1章 嫌いなものは嫌い!
 満開の桜が散りゆく今日この頃。暖かい春の風が心地よく感じる。

 そんな春真っ只中、この桜の花散る通りを神田葵は挙動不審になりながらも、まっすぐに歩いていた。

 真新しいピンクのセーラー服に身を包み、胸元では真紅のリボンが風になびいている。

 それと同時に、頭の上のほうで結っている金髪で長いツインテールも風と同じ方向に流れていく。

 葵が向かっている場所は、通りの先に見える大きな学校。

 それは私立翠翔学園高校。県内トップの進学校である。

 私立なだけに校舎や敷地面積は大きく、いかにもお金をかけているような造りだ。

 通りを更に進んで行くと、鮮やかな緑色をした芝生のある庭へと続く校門が見えてきた。

 入学式の翌日だけあって初々しい一年生の姿がたくさん見られる。

「葵おはよっ!」

 ちょうど玄関に入ろうとした時、後ろから声をかけられた。

 誰かと思い振り返ると、そこにはいつも以上にニコニコ顔で機嫌のよさそうな親友、みーちゃんの姿があった。

「なんだ、みーちゃんか。びっくりさせるな!」

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