可愛いなんて大嫌い
 なんだかわからないけど、悠里の言葉には説得力が感じられる。

 子供みたいな事を言っている自分を、ガキではないと言い張る葵とは大違いだ。

 言動、見た目、全てが大人っぽい。

 多分性格も穏やかで、大人な人なんだろう。

(アイツはあれだ! 優等生さんというヤツだな)

 その通り、葵は知らないが悠里は一年一組の学級委員をしている。

 これは葵が何の部活に入るか悩んでいた時決まっていた。

(優等生さんで美人なのかー。いるんだな、世の中にはそういう奴が)

 特に羨ましいとは思わない。

 葵は自分は自分、人は人、というザックリとした思考で生きているから。

「という事は、あの九条が学年首位なのか!?」

 それはそれでピッタリと型に当てはまっているように思えた。

 でもやっぱり悔しいのが本音である。

(相手が誰でも葵は負けんっ!! 次こそは絶対一位になってやる!)

 悠里の存在を知った葵は、俄然やる気になった。

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