可愛いなんて大嫌い
「よし、メモしておこう。じゃあ可愛い可愛い光のために俺がチョコレートを買ってやろうか」

「ホントッ!?」

 食べかけのメロンパンを机の上に置いて、矢神は嬉しさのあまり立ち上がった。

「いや、今度な。そうだ今度だ」

 この言葉を聞き、一気にテンションが急降下。

「……死んじゃえよ」

 期待した俺がバカだったと、静かに席に着いた。

 黙々とメロンパンを食べ続ける。

「それよりお前、あのツインテール娘にすげぇ絡まれてたじゃん」

「ツインテール娘……?」

 誰の事だろうと矢神は食べるのをやめて、一瞬頭を悩ませた。

「……それって葵ちゃんの事?」

 ツインテール娘と聞いたら葵しか思い浮かばない。

 葵以外にツインテールにしている生徒はクラスにいないから。

「そう、それ! なんだ、お前等仲良しさんなの?」

 藤本は葵を『それ』呼ばわり。この場に葵がいたらブチ切れているだろう。

「ううん。葵ちゃん俺の事嫌いみたい。なんか俺、葵ちゃんの敵になっちゃった」

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