可愛いなんて大嫌い
「なんだそれ!? あの女なんて奴なんだ! 大丈夫だ光。俺はお前の事大好きだから」

 キラキラと乙女みたいな輝かしい瞳。

 そう、恋をしているような……。

「気持ち悪い事言うなっ!!」

 矢神の背中にゾクッと悪寒が走る。

(……なんで俺、こんな奴と仲良くしてるんだろう)

 藤本は身長も百七十八センチと高く、見た目は結構な男前でモテるのに、中身はこんな奴なのだ。

 女の子みたいに可愛い矢神が大好きなのだ。

 いつの日かは『彼女になってくれ!』と無茶苦茶な事を言っていた。

 かなり気持ち悪い。

 ファンの女の子達が知ったらどう思うか……。

「まあ、俺はこのクラスじゃ断然九条だと思うけどな。いやっ! やっぱり俺の一番はお前だ! お前が一番可愛い!」

「……殴りたくなってきた」

 この変態バカのためにいちいち反応するのが面倒くさい。

「おい、翔っ!! 俺がいない間に何勝手な事言ってるんだ! 光は俺のだぞ」

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