可愛いなんて大嫌い
「あたし朝ダメなんだよ。葵も知ってるだろ。今日だって寝坊してギリギリだったし」

「では何故にマネージャーなんかなったのだ!?」

「部活中のかっこいいダーリンが見たいから。愛の力ってヤツだ!」

 マネージャーとしての責任感も何もない言いぐさだ。

 元ヤンのみーちゃんをここまで変えた『愛の力』というヤツは凄い。

 中学時代のみーちゃんは、喧嘩上等、大人うざい、学校なんかクソくらえ、と三拍子揃った超問題児だった。

 この中でも喧嘩は専ら強く、ついにはレディースの総長にまで上りつめたのだ。

「愛の力ってなんだ!! 気持ち悪っ! だいたいあのジャイアントゴリラのどこがいいというのだ!?」

 ヤンキー時代を知る葵は、みーちゃんの豹変が理解出来ない。

「優しいとこだろー、それとかっこいいとこだろー、それと……っ」

「うわあ―――!! もうやめてくれ! 鳥肌が立ってきた!」

 自分から振った話にもかかわらず、葵は悲鳴を上げる。

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