可愛いなんて大嫌い
 声の正体がわかった所で葵はホッと胸をなでおろす。

 みーちゃんと葵は中学からの付き合いで、同じ高校に入学した。

 中学時代にはいろいろあったが、今は自他共に認める親友である。

 子供っぽい葵とは対照的に、みーちゃんは大人の色気を体中から漂わせている。

 髪も耳の高さぐらいの所でキュッと可愛らしくまとめている。

 まな板状態の葵とは違い、出る所はちゃんと出ていて、絞まる所もちゃんと絞まっている。

 ナイスバディというやつだ。

 一つだけ同じ所は言葉遣いが葵級に悪いという事。

 二人はまだ見慣れぬ廊下を進んで行き、自分達の教室がある三階へ向かった。

 中学とは比べものにならないくらい大きな校舎。そして周りを行き来するたくさんの生徒達。

 何もかもが初めてで葵は新鮮な気持ちになった。

(これから頑張るぞっ!)

 これから始まる新しい高校生活に気合いを入れるため、鞄を片手に小さなガッツポーズをした。

 葵は一年一組と書かれている教室の中に入ると、まず教室一面を見渡す。

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