可愛いなんて大嫌い
「でも子ども教育学科って事は、子供のほうが好きなんじゃないの? 葵ちゃん幼稚園の先生になりたいの?」

「な、なんだよ! 悪いか!! とにかく葵はお前と同じ大学なんて絶対嫌だからな! 志望校変えろ!」

 葵はどさくさに紛れてとんでもない事を言い出した。

「やだよー。俺もこの大学行きたいもん」

 しかしここは矢神も譲らない。

 普通の常識人なら、葵の我が侭のために志望校を変える事はしないはずだ。

 それはやっぱり矢神も同じで、簡単に変更は出来ない。

 男たるもの、葵なんかのために意思を曲げるなどあってはならないのだ。

 矢神が諦めてくれそうにないので、葵は非常に勝手ながらどんどん腹立たしくなってくる。

「葵だって行きたいのだ!」

「じゃあ一緒に行けばいいじゃん」

「それは嫌だ! 絶対嫌だ! 同じクラスで隣の席ってだけでも嫌なのに、何故大学まで一緒に行かなければならないのだ!!」

 ここまでくると駄々をこねている子供にしか見えない。

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