可愛いなんて大嫌い
 そうと決まればとにかく勉強。なんせ相手は認めたくはないが一位の男だ。

 そして自分の将来がかかっている。

 葵は努力や根性など熱い事が大好きで、中学の頃からテスト前はいつも猛勉強していた。

 しかし苦手な運動はいくら努力しても運動神経の良い人には適わないので、何もしない。

 都合の良い性格なのだ。

 早速、今日は早く家に帰って勉強しようと思ったが、人生そんなにうまくはいかない。



「今日部活でクッキーを焼くらしいの。葵も早く行きましょ」

 放課後になり、さっさと教室を出ようとしたところ、梨加に呼び止められた。

「きょ、今日から部活があるのか!? 聞いてないぞ」

「あら、私だってさっき三年生に言われたもの」

 これでも料理部は遅いほうで、他の部は入学式の翌日から始まっているところもあるのだ。

「でも三日後には実力テストがあるんだぞ!」

「それは一年生だけだから先輩方には関係ないみたいよ」

『なんだって―――!!』と葵の大きな叫び声が教室中に響いた。

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