可愛いなんて大嫌い
 そのうちクッキーも焼き上がり、葵達にとって最初の部活も終わりが近づいてきた。

 なんだかんだ喋っていた割には、クッキーは綺麗で美味しそうに出来上がっている。

「私もこのクッキーを渡しに行こうかしら?」

 グランドの女子達に便乗して、梨加の心は完全に乙女モードに入っていた。

 いつの間にか焼き上がったクッキーを可愛らしくラッピングしており、行く気満々である。

「面白そー。私もついてくー。葵ちゃんは?」

 茉子も茉子で楽しい事が楽しい事が大好きらしく、梨加について行く気満々である。

「何故あの男共のためにクッキーをあげなければならんのだ!? 葵はいつものように、近所のばあちゃん達におすそ分けするぞ」

 葵は恋をしている乙女の気持ちが理解不能なのだ。

 恋をした事がなくはないのだが、悪い思い出の方が強いため、ドキドキしていた自分などはっきり言って思い出したくはない。

 むしろその過去を消し去りたいくらいだ。

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