可愛いなんて大嫌い
 外見だけはいいので、誰も中身に気付かない。

 その変態藤本の声は家庭科室中に渡っていたみたいで、皆一斉に金髪ツインテールを探し始めた。

 探すも何も、金髪ツインテールは一人しかいないので、すぐにわかってしまう。

「こらっ葵!! あんた藤本君と友達なの?」

 かっこいい男に敏感な梨加は、いち早く葵の元へ行き、事実確認のため問いただした。

「誰だそれ? そんな奴は知らん」

「なんだとこのバカ女!!」

 ――ぷっちーん。

 藤本の一言で、葵の怒りメーターはすぐに破裂した。もろすぎる。

「……だだだ、誰がバカ女だと!? 葵がバカならお前なんかバカバカバカだっ!!」

「バカって言ったほうがバカなんですー」

「だったら翔のほうが先に言ってたよ」

 葵達のくだらない喧嘩に、矢神は一撃でとどめを差した。

「だははっ!! お前は正真正銘のバカだな……ってお―――い!! 何故矢神までここにいるのだ! はっ、まさか葵の偵察に来たんじゃあるまいな」

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