可愛いなんて大嫌い
「余計な事すんな!!」

 案の定、怒られる藤本であった。



 その頃家庭科室では、

「ちょっと葵ー!! どうして男嫌いのあんたの周りにいい男がいるのよっ! 納得いかないわ。うちのクラスには九条悠里という、女の敵もいるってのに」

 梨加が流し台の傍で大暴れしていた。

 洗いものもせずに、キィーキィーと文句をたれている。

「迷惑なだけだ。それより何故九条悠里が敵なのだ?」

 洗いものを終えた葵は、ハンカチで手を拭きながら首をかしげた。

 最高に鈍い葵には梨加の言っている事がよくわからないのだ。

「まずあの女は顔がいいわ。それに性格もいいし、頭もいい。そして何より胸が大きいのよっ!!」

 指を折りながら、梨加は説明してやった。最後の『胸が大きい』をやたらと強調して。

「胸がでかいと何かいい事があるのか?」

 出ました。葵の鈍感を通り越して、女としてどうなのか発言。

 もう鈍感という言葉ではおさめられません。

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