可愛いなんて大嫌い
 学校が終わって家に帰ると、まず父親と自分のご飯を作る。

 それから宿題をさっさと終わらせる。お風呂から上がるとすぐにテスト勉強。

 テスト勉強が終わっても、次の日の予習をしなくてはならない。

 葵の夜は長いのだ。深夜三時過ぎないとベッドに入れない。

 気付けば太陽が昇っていた日もあった。

 こんなハードな生活が実力テストの日まで三日間続いた。

 体力的にはそろそろ限界である。あとはやる気と根性で乗り切るしかないのだ。

「ちくしょー……。実力テストの分際で葵をここまで苦しめるとは」

 そしてついにテスト当日がやって来た。辛かったテスト勉強から解放されるのだ。

 葵は日頃から勉強しているが、今回のテストは奴に必ず勝つ、という絶対的な目標があるため、負けは許されない。

(勝つのは葵、負けるのはアイツ!! それで進路変更させてー、ふふふふっ)

 まだテストは始まっていないのに、葵の頭の中には勝った時の光景しか浮かんでこない。

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