可愛いなんて大嫌い
「だってホントだもん。あ、俺の点数わけてあげようか?」

 ――ぶちぃいいっ!!

 葵の怒りメーターはすぐさま崩壊した。

「死ね―――っ!! 誰がお前の点数なんているかっ! お前なんか地球の裏側で死んでしまえっ!!」

 矢神は冗談で言ったのだが、単純バカな葵はすぐ真に受ける。

 そして怒りメーターを何台もぶっ壊していくのだ。

「そんな事より葵ちゃん、負けたら何でも言う事聞くって言ってたよねー」

(忘れてた―――っ!!)

 はい、忘れていました。というより、負けた時の事すら考えていませんでした。

 勝つのは自分だとばかり思っていた自意識過剰な子なのです。

「……そそ、そんな事言ったかっ?」

「うん、俺ちゃんと覚えてる」

 もう言い逃れなんてできません。

 こんな約束を勝手にした葵が悪いのだ。

 なんという屈辱。あそこまで大見得を切っておいて、見事に敗北した。

 夢であるなら覚めてくれ……。

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