可愛いなんて大嫌い
「ま、漫画なんだから許してあげなよ」

「なんでお前にそんな事言われなきゃいけないんだよ!」

 葵は逆ギレした。

(すっごい負けず嫌いだなー……)

 負けず嫌いを通り越して、ただの我が侭娘である。

 ふんっ、と鼻を鳴らし、葵は席に着いた。

「……おい。はは、早く言わないとホントに聞いてやらないからなっ」

 一応聞く気はあるみたいだ。

 一度損ねた機嫌は直らないみたいだが、そこはちゃんと筋が通っている。

「うーん……」

 矢神が悩んでいると、葵は眉間にシワを寄せて、凄い顔で睨み付けていた。

 その視線がとても痛い。

 早くしろ、さっさと言え、と目で訴えているようだ。

「じゃあ、料理部で葵ちゃんが作ったのが食べたーい」

「葵が作ったやつぅ? ……ぷふっ、いいぞ任せろ!!」

 見るからに怪しい表情。

(絶対なんか企んでるよなー)

「その前にお前の好きなものと嫌いなものを聞かせてくれ!」

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