可愛いなんて大嫌い
 天敵にプレゼントをあげなければならないのに、ものすごく楽しそうである。

「好きなものは辛いもので、嫌いなものは甘いもの」

「ふんふん、わかったぞ。まあ、楽しみにしておけ」

 ちなみに矢神が言った事は真逆なのだ。

(葵ちゃんの事だから、俺の嫌いなもの作るんだろうな)

 その通り。

(こいつの嫌いなものを入れて泣かせてやるぞ!)

 葵のイタズラ心に火がついた。

 さっきまで機嫌が悪かったのに、今はこの計画の事で頭がいっぱいだ。

 頭の中はやっぱり成功した時の光景しか浮かんでこない。

 矢神に計画内容を見抜かれた時点で失敗にもかかわらず、おバカな葵はそれにまったく気付いてないのだ。

 葵という奴はとことんバカである事が判明した。

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