可愛いなんて大嫌い
 ちょうどその頃体育館では、葵に嘘を教えた張本人、矢神と二人の変態達がバスケットをしていた。

 昼食後の運動である。

「あの女っ!! またしてもこの俺より順位が上だと!? 忌々しいっ!」

 メガネの変態有栖川は、息を切らして怒っていた。

 この男は実力テストで葵の一つ下、三位だったのだ。

「どこからどう見てもあの女バカだろっ!! 俺が三位なんてあり得るはずないんだ!」

 こちらも現実逃避である。

「その意見俺も賛成ー。だってツインテール娘ホントにバカだもん」

 一方もう一人の変態藤本は、スリーポイントラインから見事にシュートを決めて、有栖川と一緒になって言いたい放題。

 葵がこの場にいない事を心から喜べ。

「光と三点差だろ? カンニングでもしたんじゃねぇの?」

「そんな子には見えないけど」

 矢神はここですかさずフォローを入れる。

 こんな事が葵にバレたら、まず命はない。

「お前はあまいっ!! あの女が勉強出来るように見えるのか!? 俺には見えんぞ!」

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