可愛いなんて大嫌い
 この変態メガネ男も大概負け犬の遠吠えである。

 その点では葵とどっこいどっこいといったところだ。

「うるさいなー!! 潤の頭が悪いだけだろ!? もっと勉強しろバーカ!」

 矢神は持っていたバスケットボールを有栖川の顔面に投げつけた。

 ボールは気持ちいいほど顔にくい込み、最後は床に落ちていく。

 有栖川はトレードマークのメガネが割れ、そのまま後ろに倒れていった。

「潤ー、お姫様を怒らせちゃダメだってー」

 まるで人事のように言っている藤本だが、

「お姫様とか言うな―――っ!!」

 それは矢神にもはっきり聞こえており、さわやかフェイスを思いっきり殴られた。

 もうさわやかフェイスではなくなり、ただのへちゃげブサイクである。

「死んじゃえっ!」

 床にぶっ倒れている二人をそこに残して、矢神は体育館をあとにした。

「……い、今のは効いたな……」

 効きすぎて喋る事も出来やしない。一言残すと、藤本は気を失った。

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