可愛いなんて大嫌い
(ここで砂糖大量投入なのだ!!)

 砂糖も一応分量通りに計ったが、葵はそれを徹底的に無視。

 こんなものでは足りないと、袋ごとドバドバ流し込んでいく。

 なめらかになるはずのタネは、大量の砂糖のせいでジャリジャリである。

「ちょっと葵っ!!何やってんの!! こんな甘いの誰が食べるの!? その前にこんなんじゃ絶対失敗よ!」

 隣で手伝っていた梨加は思わず悲鳴をあげる。

 葵の個人プレイにより、このグループは確実に失敗する。

 砂糖の入れすぎは黒焦げの原因になるのだ。

「もうっバカ!! 私あっちの成功したマドレーヌを貰うわ!」

「是非そうしてくれ。これは多分不味いからな」

「わかってるなら最初から作らないでよ!」

 自己チューな葵は自分が作ったものを食べようとは思っていない。

 このマドレーヌは単なる矢神への嫌がらせなのだ。

 そしてついに砂糖が大量に入ったマドレーヌのタネは、オーブンへと向かう。失敗作になるために。

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