可愛いなんて大嫌い
 葵の胸は期待から徐々に高鳴っていく。

 部活の終了と同時に家庭科室を飛び出した。向かう先は奴の元。

(その前にこれをみーちゃんに渡して来よう)

 突然の行き先変更。陸上部はまだ終わってなかったので、先にみーちゃんの所へ行く事にした。

 みーちゃんは一応柔道部のマネージャーをしているから、柔道場にいるはずなのだ。

 しかし行ってみると、マネージャーの仕事をこなしているみーちゃんの姿はどこにも見当たらず、代わりに部員のお茶をグビグビ飲んで、おにぎりをバクバク食べている女王様を発見した。

「おいっ、みーちゃん!! ちゃんと働け!」

「働いてるじゃねえか。部員にやるおにぎりを毒味してやってんだ。葵も食うか?」

「では一つ……じゃなくてっ!! ふふーん、今日は腹ペコみーちゃんに差し入れを持って来たのだー」

 葵は鞄の中からさっきラッピングしたマドレーヌを取り出した。

「葵が作ったマドレーヌだぞ! これは先輩に貰った成功品だから安心しろ」

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