可愛いなんて大嫌い
「ハゲってなんだ! お前ぶっとばすぞ!」

 この言葉と同時にみーちゃんは、雷が落ちたような凄まじいゲンコツを葵にくらわせた。

『ゴツンッ!』という大きな音が葵の頭の中でぐるぐるしている。

「そんなワケで料理部には一人で入れ。あたしはパス」

「つれない奴め……。友情よりそんなに男が大事なのかっ!?」

 ズキズキする頭を両手で押さえながら、葵は自分達の友情を確認する。

(葵とみーちゃんの熱い友情がゴリラごときに壊されてたまるかっ!)

 もちろん葵はみーちゃんは友情を選ぶと信じていたが、

「……男が大事ってワケじゃない。ダーリンが大事なんだっ!」

 その期待は風と一緒に、どこかへ飛んで消え去ってしまった。

 もう悲しいという次元を越えて切ない。切なすぎる。

 恋人を横取りされたような気分になった。

「お前も男を作れ。そうしたらあたしの気持ちがよーくわかるから」

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