可愛いなんて大嫌い
 包み紙の中からは――

「……なんだかとっても普通に見えるんだけど」

 大失敗マドレーヌの姿はなく、綺麗な成功品が現れた。

「なんだこれっ!! これはみーちゃんにあげたはずだぞ!!」

 すると次の瞬間、

「葵―――ッ!! テメェはあたしにこんなもの食わせる気か―――!!」

 恐ろしいヤマンバのような顔をした親友が、後ろから自分に向かってやって来る。

「そんなはずはないのだ! だって葵はちゃんとっ――」

 その二つを見比べると包み紙が同じ色をしている。

(ま、まさかこの葵が間違えたというのかっ!?)

 頭によぎる嫌な予感。それは多分当たっている。

 悪い事は必ずと言っていいほど当たるものだから。

 葵の顔からは冷や汗がタラリ。これは死の予感を意味しているのだ。

「ごめんなさぁああ―――いッ!! 悪気はなかったのだ! いや、実は凄くあったが……」

 葵は矢神をその場に残して、必死にヤマンバから逃げる。

 しょうもない悪戯を考えるからこんな事になるのだ。

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