可愛いなんて大嫌い
 逃げたのはいいが、体力がなく極度の運動音痴の葵は、三十メートルほど走っただけですぐに捕まった。

「ずず、ずいまぜんっ!! もうじまぜんから許してぇー」

 恐ろしい顔をしたみーちゃんに葵は首を絞められ、ゲホゲホとむせている。

「もうしませんだとっ!? そんなの当たり前だろ!! てめぇナメてんのか?」

 元ヤン魂が炸裂しているみーちゃんを止めることは不可能に近い。

 親友であろうとおかまいなしなのだ。

「高橋さん、もうやめてあげてよ。俺の綺麗な方あげるから」

 そんな中、見るに見かねた矢神は、自分の綺麗な成功品をみーちゃんに差し出した。

「こんな物であたしの気がおさまると思ってんのかぁ!? 持って来るなら金一封でも持って来いっ!」

 納得してないみーちゃんであったが、煮えきらない表情で葵を解放してやる。

 葵に至っては自業自得である。

 天罰をくらったのだ。

「み、みーちゃんの奴……本気でやりおって、葵が死んだらどうする気だっ!!」

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