可愛いなんて大嫌い
第4章 萌えとか言うのはこの口か!
 マドレーヌ作戦から数週間。

 勝負のネタが尽きた葵は、珍しいことにおとなしく生活していた。

 本日は休日のためリビングのソファーに仰向けに寝転がって、兄貴の少年漫画を勝手に読んでいる。

「ぉおーっ!! そこで必殺技を出すのか!」

 父親は休日出勤で家にいないため、今は葵一人で留守番中なのだ。

 ミニスカートをはいているが、一人しかいないのをいい事に足を広げている。

 つまりパンツ丸見え状態だ。

 一人で留守番を満喫していたのだが、

「おい葵っ、一生の頼みがある!!」

 ガチャッと玄関の扉が開く音が聞こえ、誰かと思ったら突然兄貴が帰って来た。

「げっ兄ちゃん! 何の用だ?」

 いかにも迷惑そうな顔をして、葵はリビングで出迎えた。

 七つ年上の兄貴はすでに結婚しており、家庭を持っている。

 実家の近くのマンションで、奥さんと子供と三人暮らしをしているのだ。

 そんな兄貴が一人で帰って来るものだから、当然葵は驚いた。

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