可愛いなんて大嫌い
 言いたい事だけ言って用事を済ませると、兄貴はとっとと玄関へ向かい、帰り支度をする。

 家を出る前に

「あ、言うの忘れてたけど、これ失敗したらお前のせいだからな。んじゃ」

 と、葵に入念に忠告して帰って行った。

「……こっ、これは失敗出来ない!! 極秘任務だな」



 極秘任務と言いながらも、葵は次の日あっさりとみーちゃん打ち明けていた。

「お前にはもったいないくらいのいい男だな。顔は九十八点てところか」

 翌日の休み時間、みーちゃんは席に着いて、葵が持って来た写真を見ながら点数をつけている。

「あとの二点は何なんだ!! まぁ、こんな事はどうでもいいのだ。つまり葵は今度の日曜日、この写真の男とデートとやらをやらなきゃならんのだ。協力してくれ!」

 両手を合わせて拝むように頼むが、

「こんな面白い事に協力しないワケねぇだろ。あたしに任せな!」

 みーちゃんはすんなり承諾してくれた。

(葵の初デートをあたしが見ないワケにはいかないって)

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