可愛いなんて大嫌い
 それはやっぱり面白そうだからという理由で、人の初デートを全て見る気なのだ。

「でもなんで相手が葵? この男葵のこと好きなのか?」

「そんなの葵が知るか! ちなみにこの男は兄ちゃんの上司の息子だぞ。上司の頼みを断りきれなかったらしいのだ。まったくなんて兄ちゃんだ!」

「でもあたし、こういうの葵は絶対断ると思った。男に目覚めたか!?」

「断ったに決まってるだろ!! けど上司の頼みでこの男とデートしないと、兄ちゃん会社クビになるとか言うんだよ!」

 葵は相当嫌がっているが、みーちゃんの方はかなりノリ気である。

 これを機会に葵に彼氏が出来たらなんて面白いんだろう、と思っているのが本音だ。

「事情はわかった。あたしに全部任せろ! あたしと葵の仲だろ?」

「さすがみーちゃん!! 相手はあの宿敵ゴリラとはいえ、経験豊富な奴は違うな」

 こうして葵は日曜日のデートを、全てみーちゃんに任せる事にした。

 これが悪夢の始まりだったのかもしれない。

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