可愛いなんて大嫌い
「なんだ? あたしそんな趣味はねえぞ」

「……あの男、絶対絶対ぜぇーったい許さん! くそっ」

「なんだよ、また負けたのか。懲りない奴だな。相手にしなきゃいいじゃねえか」

 葵を見て全てを悟ったみーちゃんは、呆れかえり、どうでもよさそうにあしらった。

「負けてなんかないっ!! なんで葵があんな奴に負けなきゃいけないのだ! いつもいつもいつも葵のことバカにしおって」

「わかったよ。話聞いてやるからとりあえず落ち着け」

 今にも沸騰しそうな葵を、みーちゃんは慣れた手つきでなだめ、近くのファミレスに入った。

 もちろんそこには葵の大嫌いなゴリラも付いて来ている。

 自分のことでいっぱいな葵は、只今ゴリラなど眼中にない。

 ひとまず3人は奥の方の目立たない席に着いた。

「で? めんどくさいから簡潔に話せ。30字でまとめろ」

 足を組み、ストローでコーラを飲みながら、この女王様は一応葵の話を聞く体勢にはいった。

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