可愛いなんて大嫌い
 葵は事細かく、身振り手振り大袈裟に説明する。

 ゴリラは葵の話を頷きながら律義に聞いていたが、一方のみーちゃんはつまらなくなったのか、ストローでブクブクと泡を立てて遊びだした。

「どうだ!? これでみーちゃんも奴の憎らしさがわかっただろ?」

「いや、別に」

「なんだとっ!? 何故だ、何故わからないのだ!」

「だってあたしも矢神と同じ意見だし。なあ?」

 みーちゃんはゴリラの方を向いて同意を求める。

 コクン、と首を縦に振るゴリラ。

「みーちゃんのバカちん! それでも親友か! 何故葵の味方をしてくれないのだ!?」

「中学からの付き合いだから、あたしもダーリンもお前のことわかってんだよ。だって葵って単純バカじゃん? てゆーかバカ代表だろ。だから面白いって言わない奴のほうがおかしいって」

「……なななな、なんだって? 葵がバカ代表だと? バカじゃないもんっ!! だって試験だって2位なんだぞ」

「それは勉強が出来るってことだろ? まあ、本人はわかんねーかもしれないけど、こっちから見ると十分面白いぞ」

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