可愛いなんて大嫌い
「えっ、何それ? いきなりどうしたの!?」

「いや、なんとなく。葵はバカ代表らしいからな……」

「何その代表!? 悪いけど質問の意図が見えないよ」

 葵はふんっ、と鼻で笑い、勝ち誇ったような顔で

「こんな簡単な質問に答えられないなんて、お前ってバカだな」

 と言った。

(だって肯定したら怒るじゃん。否定しても怒りそうだしなぁ)

 では何て言ってほしいのかというと、そんなの葵はわからない。

「もういい。しばらく勝負はやめだ」

 今の葵は鬱状態に陥っている。

 こんな状態で日曜日のデートは大丈夫なのだろうか。



 そんなこんなでデート当日。全くやる気のない葵(最初からやる気などなかった)は寝坊した。

 目覚まし時計を7時にセットしておいたはずなのに、もう9時を回っている。

 しかし焦る様子はなく、いつも通りのペースだ。

「お邪魔しますっ! 葵起きてるか!?」

 いつものように歯を磨いていると、突然来客が現れた。

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