黒水晶
動揺のあまり、イサは口の中にある食べ物を吐き出しそうになったが、ギリギリのところで我慢した。
“アイツ……。俺が怪しんでるのわかってて、楽しんでるんじゃないか!?”
「イサの顔、おもしろいっ」
マイは無邪気に笑う。
イサはそんなマイの様子に気持ちを緩ませ、
「ま、いっか」
と、眉を下げる。
フェルトの正体。
目の前で禁断魔術を使われたこと。
気になることはたくさんあるが、今はエーテルが無事に戻れたことを祝うのが先だ。