黒水晶
「魔法のせいで誰かを傷つけちゃうんじゃないかって、ためらいはあるかな……。
でも、そんなんじゃダメだね。
どうすればいいの?」
マイは真剣なまなざしでイサを見た。
「自分の魔法に自信を持つんだ。
マイならできる。
『どんな敵も、倒せる』
強く、そう思うんだ。
最初は難しいかもしれないから、少しずつでいい。
自分の魂全てを魔力に流し込むような感覚で、魔法を解き放つんだ。
俺達がそばにいることも忘れて、自分一人の世界を作るんだ。
大切な人を守るために、強さを磨くんだ。
修業は、誰かを傷つけるために行うんじゃない」
それにうなずきつつ、エーテルは言葉を挟んだ。
「そうね。周りを気にしすぎると、魔力は弱まる。
気持ちが他に向いていると、魔力の放出も不規則になり、結果、魔法にも乱れが生じる。
マイ。ここは自分だけの世界なんだと思い込んで、何回も魔法を放ってみて?
狙いは素晴らしいし、杖を使わずその魔力を操れるのは、ふたつとない才能よ。
自信を持って、しっかり」
りりしい表情で励ましてくれるエーテルに、マイは笑顔でうなずき、
「わかった!!
もう1回、やってみるね」
魔法を連打した。