黒水晶
マイは困ったようにうなずき、納得を示した。
「そうだったんだ……。
魔女狩りとか……。
魔法は強いだとか……。
ショックな話もあるけど、そういうことが起きたのも分かる気がする。
あの丘で一人暮らししてた時、私の能力を利用しようとしたり、逆に怖がる人もたくさんいたから……」
「マイ。あんたは悪くない。
あんたはその力でみんなを助けてきたじゃないか」
テグレンはマイの背中をそっとなでる。
イサは目をキリッとさせ、
「魔女狩りも、それを行った人間の歴史も、もう俺が繰り返させない。
マイを利用するつもりもない。
俺達に協力してほしかったんだ。
魔術と魔法、剣術と魔法が合わされば、どんな敵からも国の民を守れる……!!
もう、これからは、過去のように無意味な争いを繰り返したくはないんだ」
イサは強くこぶしを握る。
エーテルも言った。
「私もイサと同じ気持ちよ。
マイを見つけた時、私達も、国王である両親も、マイのことを希望の光だと思ったもの」
マイはイサとエーテルを交互に見て言葉を探していると、どこかから、聞き覚えのある青年の声がきこえた。
「魔法使いの君。
君の力は君の思うように使うべきです。
情に左右されてはいけませんよ」
その声の主は、ついさっきエーテルを助けてくれた、黒衣装が印象的なフェルトなる魔術師だった。
「あなたは、エーテルを助けてくれた……!」
マイは目を輝かせてフェルトの方を見る。