黒水晶
イサが続けた。
「だが、俺達が3歳のとき、見知らぬ敵勢力から予想外の襲撃を受け、魔法使いの統治していたあの国は没落した……」
「その襲撃中、たった一人であなたを守ったのが、イサだったの」
エーテルはイサを見つつ、マイにそう言った。
「……俺、ウソをついてた。
マイとは初対面のようなことを言ったけど、本当は子供の頃、マイとはいつも一緒にいたんだ。
あの頃は、ガーデット帝国とマイの住んでいた魔法使いの国·アスタリウス王国は、とても仲がよかった。
だからこそ、俺とマイも自然に仲良くしてたんだ」
「……アスタリウスだって?」
そうやって反応したのは、意外にもテグレンだった。
皆の視線は彼女に集まる。
「テグレン、魔法使いの国を知ってるの?」
マイがきくと、
「いや、勘違いさ。ごめんよ」
と、テグレンは首を左右に振った。
何かをはぐらかすように……。