黒水晶
5‐4 身内
――翌朝。
東から昇った太陽の光が、だだっ広い草原を白っぽく照らす。
旅にはもってこいの清々しい天候だ。
見渡す限り草原が広がり、山や森なども見当たらない。
自国の方角を知るイサとエーテルが先頭を歩き、その後ろにマイとテグレンが続く。
こういう隊列で歩くことが日常になりつつあった。
人の通りが少ない場所だからか、道という道もなく、方角が分からないと歩を進めるのは厳しい場所。
案内人のイサとエーテルがいなかったら、マイとテグレンは迷っていただろう。
「ここまで来たの、初めてだなあ」
マイは物珍しげに周囲を見渡した。
空気はどこまでも澄んでいて、散歩気分を超えリラックスモードになる。
歩いていても、疲れは少なく心地いい。
「イサ。今日はいつもより元気ね」
エーテルが柔らかい瞳で、隣を歩くイサを見た。
「そうだな。俺の目標、再確認できたからさ」
そう言いイサは、昨夜マイと話したことをかいつまんで話す。