黒水晶

イサの話に、エーテルはあたたかい関心を示した。

「そう、二人でそんな話をしていたの。

ヴォルグレイト様やカーティス様は、お元気かしら」

「相変わらず元気だろうな」

イサとエーテルは、国から何の連絡もないことを気にしていたが、ここに漂う平穏な状況に感化されたのか、心のどこかで、『自分の国は大丈夫』と思うようにしていた。

自分達が任務を受けている最中に自国で良からぬ何かが起きていたら、悔やんでも悔やみ切れない。

常に最悪の状況を想定する一方で、二人は、こうした平和な会話の中に安らぎを見出だしていた。

< 68 / 397 >

この作品をシェア

pagetop