黒水晶

後ろで楽しそうに話しているマイとテグレンの様子を振り返りつつ、エーテルはイサに言った。

「マイも、幼い時からずっと一人で暮らしてきたから、寂しかったのね。

私たちの前ではいつも明るくしてるけど、その分、今までの暮らしで無理してきたことも多かったはず……」

「そうだな……。

あの時俺が、もっとしっかりマイを守れていたら、こんなことにはなってなかったのかもしれないのに」

「イサは十分、マイを守り切ったわ。

それにマイは、魔法薬しか作れない、魔法は使ったことがない、と言っていたけど、ローアックスの攻撃から私を守ってくれた。

あれが潜在的にあった魔法能力だったとしても、たった一人で、あそこまで魔法力を鍛えていたのにはとても驚いた。

さすが、マイね。

魔法使いの能力は、私達の想像をはるかに超えているわ」

「そうだな。マイはすごい。

一緒にいると、向上心が高まる」

「ふふふ。『向上心が高まる』だけ?」

からかうように、エーテルはイサを見やる。

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