黒水晶
フェルトはニッコリし、
「さすがイサですね。その通りです。
この空間に干渉する黒魔術をほどこした者を見つけ出し、おかしくなった空間を修正する必要がある。
でも、そろそろ日が暮れますし、いい宿を知ってるので、今夜はそこでゆっくりしませんか?
お代は私が払いますから」
イサは渋々うなずく。
「たしかに、一刻も早く解決したいけど……。
備えも必要だしな」
「わかっていただけて嬉しいです。
それに、エーテルの体調も思わしくないようですから」
フェルトは言いながら、ふらつくエーテルの肩を支えた。
エーテルは目を閉じ、フェルトの腕に力無く倒れ込む。
「エーテル!?
大丈夫か?」
「エーテル!!」
イサとマイは、エーテルに駆け寄る。
テグレンはフェルトの反対側からエーテルを支え、
「ひどい熱だ。そんなの感じさせないくらい、今までは元気だったのに……」
と、エーテルの額に手を当てる。
ものすごい熱だ。
フェルトは場を仕切る。
「エーテルが危ないです。
宿までは私の術で移動しますので、みなさんは少しの間目を閉じていてください」
フェルトにいろいろ質問したい気持ちをおさえ、一同は指示されるがままに目を閉じた。