10年遅れのラブレター【停滞中】
キーンコーンカーンコーン……
放課後のチャイムが、構内に響き渡るのと、担任が教室を後にしたのは、ほぼ同時だった。
あたし、松井美波は鞄を肩にかけて、椅子から立ち上がった。
と、そのとき。
「美波ー、」
「遥?なにー?」
親友である、遥が長い黒髪を揺らしながらやってきた。
「このあとヒマ?皆でカラオケ行こうって話してるんだけど」
「わー、行く行く!」
「オッケー!じゃ行こう!」
遥はそう言って、あたしの腕を掴み引っ張る。
「わわ、待ってよー」
もつれる足をなんとか動かして、遥の後に続けば…