10年遅れのラブレター【停滞中】
教室を出て、遥は今日遊ぶだろうメンバーのところへと足を進める。
だけど、そのメンバーのうち、一人の顔を見たとたん、あたしの足は急停止した。
「………っ!」
「…おっ、と」
それにつられて、あたしを引っ張っていた遥も止まる。
「……さ、笹岡くん」
そう、笑いあう友達の輪の中で人一倍輝く笑顔があったから。
「美波」
「ちょ、遥!笹岡くんがいるなんて聞いてないよ!」
「だって行ったら、美波行かないって言うでしょ?」
「あ、当たり前じゃん!笹岡くんとカラオケなんて……緊張してどうしたらいいかわからないもん!」