サクラ学園



どうしようもなく寂しくなった時、私は村はずれの丘のてっぺんに行くのが習慣だった。


丘のてっぺんに行って風を受けとめるように両手を広げると、いつも風が私を包んでくれた。


その時だけは、私は一人じゃない気がする。



・・・だけど、このことだけはバレちゃいけない。


バレたら、もっと一人になっちゃう。



・・・そう、思ってた。














彼に出会ったのは、私が小学5年生に上がってから、1ヶ月が経った頃だった。


その頃の私は、何も変わらない毎日に感情がマヒしていたと思う。



いつもみたいに掌で風を丸めていた。


もう完全な円になり、そこからどう姿かたちを変化させるかというのがテーマ。


だけどどうしても、円に余計な力を加えるとすぐにはじけてしまう。





「うわっ、また崩れた―」



「・・何してるの?」



突然の声に、私は飛び跳ねるように後ろを振り向いた。




< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop