サクラ学園
どうしようもなく寂しくなった時、私は村はずれの丘のてっぺんに行くのが習慣だった。
丘のてっぺんに行って風を受けとめるように両手を広げると、いつも風が私を包んでくれた。
その時だけは、私は一人じゃない気がする。
・・・だけど、このことだけはバレちゃいけない。
バレたら、もっと一人になっちゃう。
・・・そう、思ってた。
彼に出会ったのは、私が小学5年生に上がってから、1ヶ月が経った頃だった。
その頃の私は、何も変わらない毎日に感情がマヒしていたと思う。
いつもみたいに掌で風を丸めていた。
もう完全な円になり、そこからどう姿かたちを変化させるかというのがテーマ。
だけどどうしても、円に余計な力を加えるとすぐにはじけてしまう。
「うわっ、また崩れた―」
「・・何してるの?」
突然の声に、私は飛び跳ねるように後ろを振り向いた。