毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「今川戦にむけて、兄上が『勝利の鍵』に夢中で戦準備を怠っている……ていう情報を今川軍側に送って油断させたいんだと思い込んでた。兄上が、たとえあんたを好きでも、本気であんた一番で行動する人間になるとは思わなかった」
信包が大きく頭を振って頷いた。
「そこまでじゃ……」
「『無い』って? 俺は兄上を産まれたときからずっと見てきてるからわかる! 兄上は他人に対して厳しいんだ。とくに近しい人間には特に。あんたは知らないかもしれないが、兄上は、兄上だったが故に、親族からも」
「知ってます。兄弟に命を狙われていたんですよね。暗殺計画があって、その度に信長様は未然に防いできた」
「なんで知ってんの?」
信包がきょとんとした目で、私を見た。
「もう……戻れないのなら隠していても仕方ないので言います。私、未来からきました。私は信長様のことを知っています。未来で勉強しましたから」
「ああ……。だから今回の戦の勝敗を知ってるって兄上は言ったのか」
やっと合点がいったとばかりの表情で、信包が手を叩いた。
信包が大きく頭を振って頷いた。
「そこまでじゃ……」
「『無い』って? 俺は兄上を産まれたときからずっと見てきてるからわかる! 兄上は他人に対して厳しいんだ。とくに近しい人間には特に。あんたは知らないかもしれないが、兄上は、兄上だったが故に、親族からも」
「知ってます。兄弟に命を狙われていたんですよね。暗殺計画があって、その度に信長様は未然に防いできた」
「なんで知ってんの?」
信包がきょとんとした目で、私を見た。
「もう……戻れないのなら隠していても仕方ないので言います。私、未来からきました。私は信長様のことを知っています。未来で勉強しましたから」
「ああ……。だから今回の戦の勝敗を知ってるって兄上は言ったのか」
やっと合点がいったとばかりの表情で、信包が手を叩いた。