毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
障子を開け放した隣の部屋では、豪華絢爛な内掛けがこれでもかってくらい部屋干しされている。
どれもこれも、信長からプレゼントだ。貢物というべきか。
あちこちの呉服問屋から取り寄せた高級品ばかりらしい。
私にはよくわからないけど、私の部屋付きになった女御たちが内掛けの刺繍を見ては、大絶賛していた。
四六時中、私の傍にいて守ってくれると言っていたけれど。べったりと私の隣にいて、今川軍からの刺客に警戒しているわけにはいかない。
戦を控えている織田軍だ。その頂点に君臨する信長が、四六時中、女にかまけているわけにはいかない。
清州城内に、建物を建てさせて、どこよりも厳重な警戒体勢にして、私専用の部屋を用意してくれた。
私に接していいのは、信長が決めた女御数人だけ。
あとは誰の目にも触れられないよう警備体勢をしっかりしていた。
「すっげーな。ここで呉服問屋でも開くつもりかよ。こんな豪華なのを買う客は、濃姫くらいしかいねーぞ? 破綻、間違いねーな」
縁側にどかっと座った信包が、額から汗を流しながら口を開いた。
どれもこれも、信長からプレゼントだ。貢物というべきか。
あちこちの呉服問屋から取り寄せた高級品ばかりらしい。
私にはよくわからないけど、私の部屋付きになった女御たちが内掛けの刺繍を見ては、大絶賛していた。
四六時中、私の傍にいて守ってくれると言っていたけれど。べったりと私の隣にいて、今川軍からの刺客に警戒しているわけにはいかない。
戦を控えている織田軍だ。その頂点に君臨する信長が、四六時中、女にかまけているわけにはいかない。
清州城内に、建物を建てさせて、どこよりも厳重な警戒体勢にして、私専用の部屋を用意してくれた。
私に接していいのは、信長が決めた女御数人だけ。
あとは誰の目にも触れられないよう警備体勢をしっかりしていた。
「すっげーな。ここで呉服問屋でも開くつもりかよ。こんな豪華なのを買う客は、濃姫くらいしかいねーぞ? 破綻、間違いねーな」
縁側にどかっと座った信包が、額から汗を流しながら口を開いた。