あなたを好きになれたから 
『ばぁか…死ぬかよ…
俺の鉄材の積み方が悪かったんだから、お前が気にやむことない…
でも、涼…
俺にもしものことがあったら…
雅のこと…頼むな。
お前しかいないから…
子供の名前…
女の子だったら…
すずねって…
鈴の音って書くんだ…
……いい名前……だろ…』

だんだんと
血の気が引いていく兄貴を、俺は抱きしめ続けた。

救急車が来るまでの時間が、とてつもなく長く感じた…


だけど…


病院に着いてから…


兄貴は頑張っていたんだけど…


助からなかった…


雅と
俺の手を握りしめ…


母さんがいる天国へ
旅立ってしまったんだ…
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