キミ、想ウ
「お客さん?」
「いや、蒼(あおい)くんじゃないかな」
「蒼くん?」
その時、裏の部屋に入ってきたのは、
長身の男性だった。
「蒼くん、おはよー!」
「……はよ」
「寝起きじゃん!」
「さっき起きたんだよ」
長身の男性は
眠そうにしながら、
手に持っていた財布と携帯と煙草を
テーブルの上に置いた。
「見ない顔がいる…」
「この前話した蓮!」
「蓮です…」
ペコッと軽く頭を下げると
彼も軽く頭を下げてくれた。
(悪い人では…なさそう…?)
「こっちは、蒼くん!この店でボーイしてるんだよ」
「ボーイさん…」
昔働いていたスナックとは違って
店にボーイが居ることに
少なからず、違和感を感じた。
「あと、この店の姉妹店になるボーイズバーのマスターもしてるんだよ」
「すごっ…」
「よろしくな」
「あ、よろしくお願いします…」