彼女は予想の斜め上を行く
レアチーズケーキの企画案。

《これは》ということは、他の企画案は箸にも棒にもかからないような出来なのだと勝手に解釈しヘコむ。



「ね?長野君」

彼女は気付いているのだろうか。

顔を覗き込まれる度。

俺の鼓動は毎度毎度高鳴り、なんだか寿命が短くなっている気すらしていることに。

「裕行がダメならさ、あたしと一緒にしよっか?」

「へ?」

なにを?

あっ、まさかナニをってこと?

………違うだろ!俺!

どうも俺は、金本さんの発言をおかしな方向に持っていきたがる傾向がある。

自分を叱咤し、「何を?」と金本さんに質問する。

「商品開発の企画案。あたしと一緒に提出しよ?」

「へ?」

「あたしじゃ、イヤ?」

「イヤじゃないです!」

慌てて、即答した。
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