彼女は予想の斜め上を行く
「本当は黙ってるべきなのかもしれないけど」



「裕行に頼まれたの」

「先輩に……?」

嫌な予感がした。

訊いたら、打ちのめされるだけ。

聞くべきではない。

そう頭の中で警鐘が鳴るのに、それを無視して金本さんの話に耳を貸す。


俺の言うことは、突っぱねる。

でも、葵の言うことは聞くはず。

大丈夫だって。

あいつ単純だから。


―――って、感じで中島先輩に俺のことを託されたらしい。

まぁね…。

俺ってば、あの男の読み通り単純且つ従順だわ……。

でも、問題なのはそれよりも……。

「俺って、先輩の中で、すっかり安全圏扱い?」

つーか、相手にもされてない感じ?

コーヒーを飲み終え、テーブルに突っ伏す。
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